プノンペン郊外に、日本人とカンボジアのワカモノが夢を追うオーガニック農場があった!!

プノンペンの郊外、南にタクマウというところがある。
カンダル州の州都で、NGOなどがけっこう拠点を置いているという。

カンボジアでお世話になっている米司(よねじ)さんという人が現地のワカモノと一緒にこのタクマウで農場をやっていて、ときどき土に触れさせてもらいに連れてってもらっている。


タクマウはプノンペン中心部から車で20分くらいで行けるところ。

プノンペンという大商圏がすぐそこで、かつ都会の人が農業体験するにも非常によい立地である。
しかもここは無農薬、ケミカルフリーでやるとのことで、今の時代、体験する価値も高い。いろいろと可能性を感じさせるところなのだ。

この農場、長らく準備期間だったのだが、このほどついに本格始動を始めるらしいのである!

スポンサーリンク


■日本人の経験を活かす

米司さんは北海道で30年の経験を持つ農家さんで、カンボジアの農業をなんとか盛り上げたいとプノンペンで活動されている。


カンボジアの農業は効率がひどく悪いという。

多くは昔ながらのやりかたで、畝立ても適当、苗作りもしない直播きのバラ撒き。
新たなやり方を試したり、細かな作業をするくらいなら昼寝していたいらしい。

ここのマンゴーも、日本なら樹の上の方を切ってしまい、取りやすい低いところに、大きいものをたくさん生らせるということをする。でもカンボジアでやる人は少ない。

理由:どうせそこそこ取れるやん

野菜も畝にまっすぐ定間隔に植えれば収量が変わってくる。
しかしやはりやる人は少ない。理由は同じである。

よってとっくに近代農業に転換し、大量生産するタイやベトナムなど近隣諸国に価格で勝てず、市場に並ぶのもベトナム産が多いらしい。


実際、ローカル市場に行くと地元産のものは「これはカンボジア産だよ」とアピールしてくる。
やはり希少だし地元の人も自国産がうれしいから売り文句になるのかなあ、と思ったりする。

また計画の習慣が無いので、カンボジアの田舎では借金を抱える人も多い。
国全体の近代化でカネが何かとかかる昨今、先祖代々の田畑や家を借金のカタとして銀行に取られる人が続出しているらしい。

日本の近代農業の効率を導入していく価値は確かにある。

■知識のチカラ

スポンサーリンク

田舎のカンボジアびとが、昼寝したり近所とおしゃべりしてる時間で働いたらどれほどの生産がこの国に生まれるだろう、と言った人がいた。

うまく効率的に考えてやれば開ける世界がある、でも子どもの頃からそういうことを知らずに育つから、(技術以前に)その知識がまず必要だ、と米司さんは言っていた。

同時に非効率な生産・消費スタイルがとんでもなく価値ある文化を形成している、ということはいくらでもある。

>> 私たちが知らない江戸「日本を愛した19世紀の米国人画家」が描いた、息遣いすら感じる美しき風景:DDN JAPAN
<上記記事より引用>

モノの生産販売でずっと暮らしを維持することはできないので、それが終わった時代には文化や自然で生きていくことが絶対的に必要となる。
日本は日本なりに暮らしてるだけで、食い扶持になったのになあとつくづく思う(^_^;)

先進国の技術を導入しつつ、こういうものを効率的に壊滅させず発展する。

そういう新しい知識を作って行けるとしたら、これは日本人の、新興国どころか世界への大きな貢献だろうなあと思う。

■手を携えて

スポンサーリンク

ここの農場の現地メンバーは全員兼業で、普段は普通にプノンペンでサラリーマンとして働いている。
で、その合間を縫ってなんとか農業でやっていこうとここを運営している。


もとの草原状態から今はだいぶ畑らしくなった

専業になれない理由は単純で、儲かっていないから。
設備投資、効率化、販路開拓、やることは山ほどある。
しかし経験もなく時間もないジレンマで、荒れた畑を開墾するのもなかなかままならなかった。

ここに米司さんは無償で通い、様々なアドバイスを提供してきた。
ときにはちょっとした機械修理をすることも。


でも細かな現地作業は現地の人に任せ、少し助言するだけに留めている。
30年の経験で大枠は確かに分かるが、現地でするべきことの細部は結局現地でやってきた人が一番知っているという。

ちなみにそれくらい小さく言っても中々受け入れられず大変らしい(^_^;)

でも自分が希望を感じるのはこういうコミュニケーションのあり方で、互いから学ぼうとする姿勢が結局は最大の効果を生むんじゃないかと思う。
そもそもやりたい人が自分で集まってやっているところがとてもいい。

逆に言えば日本では本人がやりたいかどうかを顧みることなく、全員を否応なしに”中流”に囲い込んだことが、一丸となって文化と未来の食い扶持を破壊した背景にあると思う。

たくさん人はいてみんなそれぞれの思いがある。
裏を返せば自分に共鳴してくれる人も必ずどこかにいる。

いろいろ歯がゆい思いをしながらも、結局はそういう人との繋がり自体に時間をかけることを厭わなかった、それがこの農場を成立させているんじゃないだろうか。

実際、みんな表情が明るいんだよね。

■「カンボジアの」農場

スポンサーリンク

日本もいろいろとどん詰まりなわけで、この農場のストーリーは日本人にもかなり大きな学びとなるように思う。
そこで学ばれているのが、先に書いた「新しい知識」だろうと思う。

アメとムチで効率よく人を使おうとする動員のアプローチとそれはぜんぜん違う。
というよりうまく動員できてしまったらそのほうが問題なのだろう。
それではみんなで何も考えず江戸を壊したのと同じことがたぶん起こる。

そういう米司さんのアプローチが生きているのか、この農場は単に日本式を入れた何かではない。

樹上をカットしていないマンゴーの樹は果実生産上、非効率かも知れないが畑に適切な陰を落としてくれる。


熱帯の太陽は急角度で強すぎるので、ずーっと日が当たるのはむしろ作物によくないのだ。
だから畝が並ぶ中にマンゴーが残してある。
農場体験に人が来たとき、みんなこの木陰で休憩しているのが目に浮かぶ。

またカンボジアの雨はスコールでとても強く、そして雨が止むと今度は強烈な日差しが降りそそぐ。
叩きつける雨とその後の強烈な乾燥が土をコンクリートのようにしてしまう。

よってそういう風土にはビニールマルチが有効だ。
マルチの中にはパイプが通してあり、それでチョー楽ちんに水やりもできる。


カンボジアでは稲わらなどでマルチすることも多いが、ビニールマルチのほうがもちろん効果は高く、徐々に広がっているらしい。だからここはカンボジアの最先端だ。

EM菌の培養もされていて、


琉球生まれの技術がここカンボジアで活きている。

無農薬&ケミカルフリーでやる上で、風土と調和することはとても重要だ。
培土を買ってくるのでなく、現地の籾殻薫炭を使ったEM菌培養はある種、象徴的だなあと感じる。

日本の技術が現地の人びとの知恵と融合し、風土に適った無理のない農法を編み出している。
ここは「カンボジアの」農場なのだと思う。

■やることいっぱい

スポンサーリンク

その努力は徐々に実を結び始めている。キュウリなどもう鈴なりにできている。

 

放置されたマンゴーの樹が並び、下は草原のようだった頃を思い出すと感慨深いものがある。いや別に俺なんもしてないけど(笑)

しかしここの立地を活かし、都会で勤めているワカモノたちが農業に専念できるためにはさらなる飛躍が必要だ。
まずは生産量を上げねばならないし、大口の顧客に安定供給できるようにならねばならない。

例えばナーサリーの小屋も、屋根代わりにせめてビニールシートでも被せたいが、そのお金も足りないという実情がある。


カンボジアでは買えない育苗セルも、日本から持ってこなければならない。


他にも、体験で訪れる人が休憩できる施設なんかが必要になるだろう。

■ネクストステージへ!

そこで現在、米司さんはクラウドファンディングに挑戦している!

※このクラウドファンディングは終了しました。ちなみにネクストゴールの50万円も含め達成!我がことのようにうれしいです。ご協力いただいた方、ありがとうございました^^

>> 農家を夢見るカンボジアの若者たちと農場を発展させていきたい!(米司 綾逸) - クラウドファンディング Readyfor (レディーフォー)

これがものすごく好調で、ほんの数日で目標の30万円は突破!
今は乾季対策の水槽のため、ネクストゴールで50万円を目標に継続している。

期限まであと20日を切る中、今のところ35万円くらいまでは積み上げたようだ。
リターンに農場体験などもできるので、ぜひ見てみてほしい。


まだ青い実のこの試みは、着実に歩を進めている。
これは日本人にもカンボジアびとにも、新しい希望だと思うわたくしなのである!\(^o^)/


スポンサーリンク


コメント

こんな記事も書いてます :)